介護タクシーを開業するにあたり重要なのが「保険選びとリスク管理」です。
一般的なタクシーと異なり、介護タクシーは運転中の事故だけでなく、「ベッドから車椅子へ移乗する際」「階段を昇降する際」など、車外での介助作業における事故リスクも常につきまといます。万が一の事故が起きた際、適切な保険に入っていないと、個人や会社が巨額の損害賠償を負うことになり兼ねません。
この記事では、介護タクシー事業者が必ず知っておくべき「特有のリスク」「必要な保険の種類」「トラブルを防ぐリスク管理」について解説します。
介護タクシー事業に潜む「3つの事故リスク」
介護タクシー業務で発生する事故は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
①運行中の交通事故
移動中の衝突・追突事故、ブレーキ時の車内転倒など。
②乗車・降車・介助中の事故
ベッドから車椅子への移乗時の落床、車椅子の固定不備による転倒、階段昇降中の滑落など。
③財物・器物の破損事故
移送中や自宅内で利用者の眼鏡などを破損した、利用者の自宅の壁やドアを傷つけたなど。
特に②や③のような「自動車運転中以外の事故」は、通常の自動車保険だけでは補償されないケースが多いため注意が必要です。
介護タクシー事業者に必要な「2つの必須保険」
介護タクシーを開業・運営するには、以下の2種類の保険を組み合わせることが基本となります。
事業用自動車保険(任意保険)
自賠責保険だけでは到底カバーしきれないため、任意保険への加入が必須です。
介護タクシーの許可を受ける要件として、「対人8,000万円以上、対物200万円以上」の賠償能力のある保険への加入が求められていますが、実際の事故リスクを考えると「対人・対物とも無制限」で加入するのがスタンダードです。
乗客の怪我に備える「人身傷害保険」や「搭乗者傷害保険」もしっかり付帯しておきましょう。
賠償責任保険
自動車保険ではカバーできない「車外での介助中の事故」や「財物損壊」を補償するための保険です。
例えば、「車いすを転倒させて怪我をさせた」ケース、「ベッドから車椅子に移すときに抱えきれず転倒して怪我をさせた」ケース、「介助中に利用者の自宅のドアに車椅子をぶつけて壊してしまった」ケースなどが補償対象になります。
保険会社や保険代理店へ、介護タクシー事業者が加入することができる賠償責任保険があるか、相談してみましょう。年間数千円から万円程度の保険料で賠償リスクに備えることができます。
実践したい「リスク管理」のポイント
保険への加入はもちろんですが、事故そのものを防ぐ・トラブルを最小限に抑える体制づくりも不可欠です。
①重要事項の説明と同意書の活用
狭い階段での介助など、リスクが高い作業を行う場合は、あらかじめ利用者やそのご家族に作業内容とリスクを説明し、同意書を交わしておくとトラブル防止になります。
②車両・機材の日常点検
福祉車両のスロープ、ストレッチャー、固定ベルトなどの介助機器は、磨耗や不具合がないか毎日の点検を徹底します。
③事故発生時の初期対応マニュアル作成
万が一事故が発生した際の初期対応、救急要請・警察への連絡・保険会社やご家族への連絡を誰がどう行うか、手順を定めておくことで二次被害を防げます。
万全の補償内容で安心して事業をスタートするためにも、事業計画の段階からリスク管理と保険の準備を進めておくことが大切です。






