介護タクシー許可の要件

介護タクシー許可を取得するには

介護タクシー許可を取得するためには、運転手等の人的要件、車両や営業所等の設備要件、事業資金を確保するための資金要件等、様々な要件をクリアしなければなりません。

介護タクシーは、正式名称を「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)」といいますが、許可の要件は運輸局のサイトで「審査基準」と「細部取扱」が公示されていますので、この公示されている要件すべてを満たすことが必要です。

このページでは、介護タクシーの許可を取得するための主な要件について説明いたします。

人的要件

1.運転手(ドライバー)

・事業計画を遂行するに足る人数(最低1名以上)
・普通自動車第二種免許を取得していること。
・福祉車両を使用しない場合は、介護職員初任者研修等の介護の資格を有していること。
・適切な乗務割、労働時間、給与体系を前提としており、日雇い労働者や期間限定労働者等ではないこと。

2.運行管理者

・常勤で1名以上
・運行管理者試験の合格者等の資格が必要だが、使用する事業用自動車が5台未満であれば資格は必要ない。
・運転者の指導監督・乗務割の作成、点呼によるドライバーの疲労・健康状態等の把握、安全運行の指示などを行う。

3.整備管理者

・常勤で1名以上
・自動車整備士技能検定に合格した者等の資格が必要だが、使用する事業用自動車が5台未満であれば資格は必要ない。
・自動車の整備・点検、車庫の管理などを行う。

4.指導主任者

・1名以上
・資格を問われる役職ではないため、誰でも就任可能。運行管理者と兼務することが多い。
・運転者に対して営業区域内の地理や利用者等に対しての接遇に関する指導監督を行う。

兼任の可否

運転手、運行管理者、整備管理者が兼任できるのかは、管轄の運輸局によって取り扱いが異なります。

関東運輸局管内(東京・神奈川・埼玉・千葉・群馬・茨城・栃木・山梨運輸支局)では、運転手、運行管理者、整備管理者の各役職の兼任が認められているため、1名で足ります。

近畿運輸局管内(大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山運輸支局)では、運転手と運行管理者は兼任できません。整備管理者は、運転手・運行管理者とも兼任可能なため、最低人数が2名となります。

設備要件

1.事業用自動車

・1台以上であって申請者名義であること(定員10人以下)
・リース車の場合はリースの契約期間が概ね1年以上あること
・下記どちらかの自動車であること
①福祉自動車
福祉自動車は、車椅子やストレッチャーのためのリフト、スロープを設けた自動車、または、回転シート、リフトアップシートなどの乗降を容易にするための装置を設けた自動車のことです。

福祉自動車を使用する場合は、乗務員は次のいずれかの要件を満たすよう努力しなければなりません。
・一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会等が実施するケア輸送サービス従事者研修を修了していること
・一般財団法人全国福祉輸送サービス協会が実施する福祉タクシー乗務員研修を修了していること
・介護福祉士、訪問介護員、サービス介助士のいずれかの資格を有していること

②一般車両
セダン型などの一般車両です。
一般車両を使用する場合は、乗務員は次のいずれかの要件を満たす必要があります。
・一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会等が実施するケア輸送サービス従事者研修を修了していること
・介護福祉士、訪問介護員、居宅介護従業者のいずれかの資格を有していること(介護職員初任者研修でも可)

2.営業所

営業所は運行管理や車両管理、ドライバーへの点呼業務を行う場所です。具体的な広さの指定はなく、自己所有の建物でも賃貸でもどちらでも構いません。

①営業所の施設(土地・建物)について3年以上の使用権限があること
営業所の施設(土地・建物)が自己所有であれば登記簿謄本、営業所を借りる場合は3年以上の契約期間がある賃貸借契約書で証明します。3年未満の場合は、契約書に期間満了時に自動更新されると読み取れることが必要です。
アパートやマンションを借りる場合は、事業用として使用することが禁止されている場合がありますので、別途使用承諾書が必要になることがあります。

②建築基準法、都市計画法、消防法、農地法などの関係法令の規定に接触しないこと
例えば、営業所のある土地が農地であれば、建物を建築できないので営業所を建てることはできません。また、都市計画法の市街化調整区域であれば、原則営業所は置くことはできません。建築基準法の用途制限によって営業所を置けない場所もあります。このように、営業所の施設(土地・建物)が関係法令の規定に接触しないことを確認する必要があります。

3.事業用自動車の車庫

車庫は、事業用自動車を停めておくための駐車場です。車両の点検や整備・清掃を行うため、一般的な駐車場よりも広い駐車スペースが必要になります。

①原則営業所に隣接していること。隣接していない場合は、営業所から直線で2km以内にあること。
②駐車するスペースが、車両の大きさより前後左右それぞれ50cm以上大きいこと。
例えば、幅2m×長さ4mの車であれば、駐車場のスペースは3m×5m(15㎡)以上のスペースがなければダメです。
③他の用途に使用される部分と明確に区分されていること
例えば、駐車場と庭が地続きの場合は、はっきりと区別できるようにしなければなりません。
④駐車場(土地)について3年以上の使用権限があること
自己所有の土地に駐車するのであれば登記簿謄本、駐車場を借りる場合は、3年以上の契約期間がある賃貸借契約書で証明します。3年未満の場合は、契約書に期間満了時に自動更新されると読み取れる場合のみ認められます。
⑤建築基準法、都市計画法、消防法、農地法などの関係法令の規定に接触しないこと。
営業所の要件と同じで、駐車場(土地)が関係法令の規定に接触しないことを確認する必要があります。
⑥自動車の点検、清掃、調整が行える充分な広さがあり、必要な点検ができる測定用器具等が備えられていること。
日常点検や清掃・調整が実施できる充分な広さが必要です(具体的な広さの指定はありません)。尚、近畿運輸局関内では、清掃するための水道施設が必要です。水道施設がなければ清掃できる場所を確保しなければなりません。
⑦前面道路の幅が車両制限令に抵触しないこと
車庫に出入口に接する道路は、一定以上の広さが求められています。前面道路とは、車庫から最初に到達する「公道」の道路幅のことです。この道路の幅が狭いと事業用の車庫と認められません。例えば、両側通行の道路では車の横幅の2倍+50cm以上の広さが必要です。

4.休憩・仮眠施設

休憩・仮眠施設とは、運転手が休息をとるためのスペースのことです。

基本的に営業所内に休憩・仮眠施設を併設します。別室が好ましいですが、同一の部屋であっても事務スペースと休憩スペースをパーティションで区切るなどで構いません。

事務スペースには、机・椅子、パソコン、電話・FAX、帳簿書類の保管棚などを置くスペース、休憩スペースには休憩用のテーブル・ソファーを配置した上で、人員が問題無く作業できるだけのスペースがあれば問題ありません。

資金要件

介護タクシー許可を受けるためには、開業に見合った資金を確保しておかなければなりません。

事業開始に要する資金として、事業用自動車の購入費用や営業所・車庫の家賃、人件費、保険料などの経費(所要資金)と、開業当初の経費(事業開始当初資金)を計算して、その合計金額以上の自己資金があることを銀行の残高証明書により証明することになります。

個人で申請するのであれば、その個人名義の銀行口座、会社など法人が申請するのであれば、その法人名義の銀行口座に申請日以降、許可が降りるまで資金が常時確保されている状態であることが必要です。

銀行の残高証明書は、申請日以降2回に分けて運輸局へ提出しますので、提出時点で残高が1円でも自己資金を下回った場合は許可が降りません。

自己資金は融資など借入金でも問題ありません。

①所要資金:下記の所要資金を算出して、合計金額の50%以上の自己資金があること。

(イ)車両費:自動車の取得費用
・自動車を購入した場合は全額を計上
・自動車を割賦(ローン)購入した場合は全額を計上
・自動車をリースした場合は月額リース料の1年分を計上
・自己所有の車を使用する場合は0円で計上

(ロ)土地費:車庫に係る費用
・土地を購入した場合は取得価格の全額を計上
・土地を賃借する場合は1年分の賃貸料及び敷金等を計上

(ハ)建物費:営業所、休憩、仮眠のための施設に係る費用
・建物を購入した場合は取得価格の全額を計上
・建物を賃借する場合は1年分の賃貸料及び敷金等を計上

(ニ)機械器具及び什器備品
・日常点検に必要な工具やタクシーメーターの購入価格を計上

(ホ)運転資金
■運送費:下記の2ヶ月分を計上
・人件費:運転者、運行管理者、整備管理者の給与・手当・賞与・法定福利費等
・燃料油脂費:燃料費+油脂費
・修繕費:外注修繕費、自家修繕費、部品費、タイヤ・チューブ費等
・その他経費:水道光熱費、備品・消耗品費、通信運搬費等

■管理経費:下記の2ヶ月分を計上
・人件費:役員報酬・給与・手当・賞与・法定福利費等
・その他経費:旅費、備品・消耗品費、水道・光熱費等

(ヘ)保険料等
・自賠責保険料、任意保険料、自動車重量税、自動車税、環境性能割の1年分と登録免許税3万円を計上

(ト)その他創業費等
・広告宣伝費、看板代、車体ペイント代、各種台帳類の整備費用等を計上

②事業開始当初資金:下記の事業開始当初に要する資金を算出して、合計金額の100%の自己資金があること。

(イ)車両費:自動車の取得費用
・自動車を購入した場合は全額を計上
・自動車を割賦(ローン)購入した場合は頭金と割賦支払額2ヶ月分を計上
・自動車をリースした場合は月額リース料の2ヶ月分を計上
・自己所有の車を使用する場合は0円で計上

(ロ)土地:車庫に係る費用
・土地を購入した場合は取得価格の全額を計上
・土地を賃借する場合は2ヶ月の賃貸料及び敷金等を計上

(ハ)建物費:営業所、休憩、仮眠のための施設に係る費用
・建物を購入した場合は取得価格の全額を計上
・建物を賃借する場合は2ヶ月の賃貸料及び敷金等を計上

(ニ)機械器具及び什器備品
・所要資金と同額を計上

(ホ)運転資金
・所要資金と同額を計上

(ヘ)保険料等
・所要資金と同額を計上

(ト)その他創業費等
・所要資金と同額を計上

介護タクシー開業に必要な自己資金

介護タクシーを開業するための必要な自己資金はいくら必要になるでしょうか?

介護タクシー許可の資産要件として、「所要資金の50%」を上回り、なおかつ、「事業開始当初に要する資金の100%」を上回る自己資金が必要です。

資金要件で決められた算出方法を具体例を上げて見てみましょう。
※関東運輸局管内での例示です。管轄の運輸局により算出方法が異なります。

開業自己資金の具体例

<運転手兼運行管理者の1名で開業する場合の例>

・福祉車両を300万円で一括購入
・車庫(駐車場)を敷金6万円、月額2万円で賃貸
・営業所を敷金30万円、月額5万円で賃貸
・タクシーメーターや工具費などに20万円
・自賠責保険料は年度、地域により異なるので仮に10万円で設定
・任意保険料は保険会社により異なるので仮に10万円で設定
・自動車税、自動車重量税についても仮の金額

これらを計算方法に従って表に当てはめてみると、合計金額が算出されます。

自己資金要件

①所要資金の合計金額は、5,142,000円ですが、この合計金額の50%以上の自己資金が必要です。
→銀行口座に「2,571,000円」以上の残高が必要になります。

②事業開始当初資金の合計金額は、4,302,000円ですので、この合計金額の100%の自己資金が必要です。
→銀行口座に「4,302,000円」以上の残高が必要になります。

①の所要資金の50%を上回り、なおかつ、②の事業開始当初に要する資金の100%を上回る資金が必要ですので、結論としては、銀行口座に「4,302,000円」以上の残高が必要になるということです。

このように、福祉車両を購入すると多額の資金が必要になるとわかると思います。

自己資金に不安のある方は、新車購入するのではなく中古車を購入する、または、車をリースをすることも検討しましょう。