介護タクシーとは?

介護タクシーってどんなタクシー?

介護が必要な人や体の不自由な人が車椅子やストレッチャーに乗ったまま乗車できるタクシーを「介護タクシー」と言います。
一般のタクシーとは異なる点は、利用者が要介護者や身体障害者など体の不自由な方に限定されているところです。

この「介護タクシー」という名前は一般的に使われている通称であって、正式な名称ではありません。
統一の名称がありませんので、「福祉タクシー」とも呼ばれたりしています。

介護タクシー・福祉タクシーは、お金をもらって人を輸送する事業ですので、「自動車運送事業」に該当します。
このため、運送事業の許可を受けなければ事業を行うことはできません。

介護タクシーを始めるには、必ずしも介護事業者である必要はありませんが、許可を受けるためには一定の要件があり、その許可要件を満たすことが必要になります。

介護タクシーの種類

介護タクシーには、実はいくつかの種類があります。
どの種類の介護タクシーでも運送事業なので許可が必要なことに変わりありませんが、輸送の目的や事業者によって取れる許可が異なります。

介護タクシーには、主に以下の4つ分類があります。

  1. 介護事業者が行なう介護タクシー
  2. 介護保険を利用しない介護タクシー
  3. 介護施設等の利用者限定の介護タクシー
  4. 自家用車で行う介護タクシー

それぞれみていきましょう。

介護事業者が行なう介護タクシー

居宅介護事業者または訪問介護事業者が、介護保険と連動して行う介護タクシーです。
ケアマネジャーが作成する「ケアプラン」に組み込むことで介護保険が適用となり、利用者は利用料金の1割(一部2割)負担で介護サービスを受けることができます。

介護保険を利用できることから「介護保険タクシー」と呼ばれることもあります。

ただし、利用目的は介護施設または病院への送迎等にかかる輸送となりますので、ケアプランに該当しない外出や旅行、観光などは介護保険の対象外となり、限定した範囲での提供になります。

注意点としては、介護保険の対象となるのはケアプランの「通院等乗降介助」サービスであり、介護タクシーの運賃は全額利用者の自己負担になるということです。
通院等乗降介助サービスである「乗車時の介助」+「降車時の介助」部分が介護保険対象となり、利用者を輸送する際に発生したタクシー運賃は、全額利用者負担になります。
このため、介護保険を使える介護タクシーでは、運賃を一般のタクシー運賃より安く設定することもできます。

介護事業者が介護タクシー事業を行なう場合であっても、ドライバーは二種免許が必要です。

必要な許可一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)許可
必要な資格二種免許

介護保険を利用しない介護タクシー

介護保険を使わずに全額利用者の自己負担で輸送する介護タクシーです。
一般的に介護タクシーとは、この介護保険を利用しない介護タクシーを指すことが多いです。

介護保険が適用されませんので、居宅介護事業者や訪問介護事業者以外の事業者(株式会社や個人事業など)でも介護タクシー事業を行うことができます。
もちろん、居宅介護事業者や訪問介護事業者が、介護保険がオーバーした場合や介護保険を使用できない方に対して提供することもできます。

つまり、居宅介護事業者や訪問介護事業者であれば、1.の介護保険タクシーも両方提供できるので、利用者の対象がさらに増えることになり、事業の幅が広がります。

介護保険を利用しない介護タクシーの利用者は、要介護・要支援者、身体障害者などと限定されていますが、用途を選ばずに利用することができますので、レジャーや冠婚葬祭などあらゆる要望に添うことができます。
また、運転者がヘルパーなど介護の有資格者であれば、介助サービスも受けることはできますが、介助費用などが運賃とは別にかかる仕組みになっています。

「運賃」+「乗降介助などのサービス費用」+「車椅子などレンタル費用」の合計が全額自己負担になりますので、高額になることもあります。

必要な許可一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)許可
必要な資格二種免許

介護施設等の利用者限定の介護タクシー

介護事業者が介護施設等の利用者に限定して輸送する介護タクシーです。
利用用途も利用者の自宅等から医療施設等への送迎のみと限定されている点が、1.や2.の介護タクシーと大きく違うところです。

ケアプランにより通院等乗降介助サービスを提供することにより、介護保険の適用を受けることができますが、原則介護事業に付帯するなど一定の制限がある限定された移送サービスです。

このように「特定の利用者(介護施設等の利用者)」を「特定の場所へ(自宅等から医療施設等)」送迎するサービスを行うために必要な許可を「特定旅客自動車運送事業」といいます。

利用者が介護事業所(自社)と契約している者(会員)に限定されているため「会員限定介護タクシー」とも呼ばれています。

利用者・利用用途が限定されていることから、資産要件や法令試験がないなど、1.や2.の許可よりも要件が緩和されており、許可が取得しやすくなっています。
しかしながら、利用用途が限定されているため、利用者のニーズに合わせた柔軟な対応ができません。

あくまでも介護・福祉事業がメインで、輸送事業は付帯するサービスだと考えている場合は構いませんが、利用者の自宅や医療機関、介護施設への輸送だけでなく、買物や旅行など利用者のニーズに合わせた幅広い事業を展開するためには、1.や2.の許可を取得するほうが適していると言えます。

必要な許可特定旅客自動車運送事業許可
必要な資格二種免許

自家用車で行う介護タクシー

1.の「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)」許可や3.の「特定旅客自動車運送事業」許可を受けている介護事業者が、ヘルパーさんの自家用車を使用して行う介護タクシーです。

福祉車両を使用しなくても、ヘルパーさんの自家用車(普通自動車や軽自動車)を利用して輸送することができることや、二種運転免許が無くても許可を受けられることが、他の介護タクシーと大きく違うところです。

1.や3.の許可ありきですので、「ぶらさがり許可」とも言われています。

この許可を受けることのメリットは、事業用の車(緑ナンバー)を用意することなく、今使用している自家用車(白ナンバーや黄色ナンバー)を利用しての移送ができるという点です。
ヘルパーさんの自家用車を利用するので「ヘルパータクシー」とも呼ばれています。

介護事業者とヘルパーさんとの契約によって、ヘルパーさんのマイカーを使用して移送するため、介護事業者に対して許可が与えられているわけではありません。
したがって、ヘルパーさんが増えた(車が増えた)場合は、その都度、新規で許可を受ける必要があります。
また、2年の有効期間がありますので、有効期間毎に更新手続きが発生します。

必要な許可自家用自動車有償運送許可
必要な資格一種免許