介護タクシーの運賃・運賃認可についてわかりやすく解説

介護タクシーの運賃認可

介護タクシーの運賃を設定するには、介護タクシーの許可とは別に運輸局へ運賃の認可を受けなくてはなりません

運賃認可の申請は、運輸局によって手順が異なります。介護タクシーの許可申請と同時に運賃認可申請ができるところもあれば、許可証が出てからでないと運賃認可申請を行うことができないところもあります。

介護タクシーの許可は受けたけれど、運賃の認可を受けていなければ、実質的に営業はできないということですので、忘れずに申請する必要があります。

介護タクシーの運賃は、事業者が自由に決められるかというと、そうではありません。

福祉輸送サービスに限定している介護タクシーでは運賃の種類は下記の3種類設定されていて、通常、介護タクシー事業を行う場合は、「ケア運賃」を設定します。

  1. ケア運賃
  2. 介護運賃
  3. 民間救急運賃

介護タクシーの運賃の種類

ケア運賃

介護タクシーによる要介護者等の輸送サービスを「ケア輸送サービス」と言います。

このケア輸送サービスを行った場合の運賃を「ケア運賃」といい、原則、都道府県の地域毎に決められた「自動認可運賃」の表の中から介護タクシーの事業者が希望する運賃を設定する方法がとられています。

一般のタクシーと同じように、タクシーメーターを設置した距離制運賃や、走行した時間により運賃を算出する時間制運賃があります。

自動認可運賃は、運輸局のサイトで確認することができます。

例えば、下記は関東運輸局で公開されている自動認可運賃で、東京都特別区(23区)と武三地区(武蔵野市・三鷹市)に適用される運賃です。

自動認可運賃

介護タクシーの事業所が東京都特別区(23区)または武三地区(武蔵野市・三鷹市)にあれば、上記の表の「上限運賃~下限運賃」の中から運賃を設定します。

自動車の車種により「特定大型車」「大型車」「普通車」に区分されていますが、地域によっては「特定大型車」と「大型車」の区別が無い地域や、「小型車」の区別がある地域もあります。

①距離制運賃

  • 初乗運賃と加算運賃を定めて、走行距離に応じた運賃を収受する。
  • タクシーメーターを設置しなければならない。

②時間制運賃

  • 一定の時間単位(30分単位)で運賃を設定して、拘束時間に応じた運賃を収受する。
  • タクシーメーターの設置は不要。

距離制運賃と時間制運賃どちらも採用することで、利用者のニーズにあったサービスを提供することができます。

「自動認可運賃」の中から運賃を設定して申請をすることで、特段問題なく認可を受けることができます。

もし、自動認可運賃を大きく下回る運賃を設定しようとする場合等、自動認可運賃とな異なる運賃を設定したい場合は、原価計算書等の提出が求められ、所要の審査が行われることになります。

介護運賃

訪問介護事業所や居宅介護事業所が運営している介護タクシー(介護保険タクシー)では、ケアマネージャーが作成するケアプランに基づく輸送を行う際に限って「介護運賃」を設定することができます。

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訪問介護事業所や居宅介護事業所が提供する介護サービス「通院等乗降介助」を行う際の輸送の部分に適用する運賃です。

ケア運賃とは異なり、介護事業所独自の運賃を設定できるのが特徴です。ケアプランに基づく輸送(介護保険適用サービスとして利用する際)の運賃は、ケア運賃の半額程度に抑えている事業者もあります。

ケア運賃と同じように①距離制運賃、②時間制運賃があり、③定額運賃を採用することもできます。

介護運賃の認定を受けるには、介護保険事業者としての指定を受けていることを証明する書類(指定通知書等)が必要です。

民間救急運賃

民間救急運賃は、患者等搬送事業者(民間救急)が消防機関や消防機関と連携するコールセンターを介して患者の輸送を行う場合に適用となる運賃です。

介護タクシーの許可とは別に、消防署等において患者等搬送事業者(民間救急)の認定を受けなければなりません。

基本運賃は、原則時間制運賃とし、定額の待料金、迎車回送料金を設定することができますが、原価計算書等の提出が必要であり、所要の審査が行われます。

民間救急運賃の認定を受けるには、患者等搬送事業者として認定を受けていることを証明する書類(認定証等)が必要です。

民間救急(患者等搬送事業)とは