
介護タクシーの距離制運賃・時間制運賃とは
介護タクシーの運賃は、自由に設定できるわけではなく、運輸局が定める区域ごとに運賃が定められています。
この運輸局で決められている運賃を「自動認可運賃」といいます。
自動認可運賃では、距離制運賃と時間制運賃があり、タクシーメーターを設置する場合のみ距離制運賃を採用することができます。
距離制運賃
利用者を移送した距離(走行距離)に応じて金額を収受できる運賃で、通常のタクシーと同様にタクシーメーターを装着することで利用できます。
例えば、東京都23区内で普通車の自動認可運賃(A運賃)は以下の通りです。
- 初乗運賃 1.096キロメートル:500円
- 加算運賃 255メートル:100円
- 時間距離併用制 1分35秒:100円
これは、初乗距離「1.096キロメートル」内であれば運賃は500円となり、初乗距離を超える「255メートル」までを増すごとに100円が加算されていくということです。
また、タクシーメーターが動いている間(利用者が乗車中)に、信号待ちや渋滞などにより車の走行速度が10km以下になった場合等には、1分35秒までごとに100円加算されていく仕組みです。ただし、迎車区間や高速道路では適用されません。
介護タクシーではタクシーメーターを設置するかどうかは事業者側の任意ですが、多くの介護タクシーではタクシーメーターを設置しています。
もちろんタクシーメーターを設置しないのであれば、距離制運賃を採用することはできません。
迎車回送料金
迎車回送料金は、介護タクシーの事業所から利用者の自宅など、指定された場所に迎えに行く際に発生する料金です。
介護タクシーは事前予約制ですので、基本的に迎車することになります。介護タクシーの事業所から指定された場所までは、迎車回送料金を収受できるようになっています。
介護タクシー利用料金 = 迎車回送料金 + 走行距離に応じた運賃(距離制運賃)
この迎車回送料金には、「スリップ制」と「定額制」があります。
「スリップ制」は、迎車に向かうタイミングでメーターを回して、初乗運賃を上限として迎車料金(上記の例だと1.096キロメートル500円までが上限)を設定することができます。
「定額制」は、初乗運賃が上限で一律固定の金額を設定することができます。
【例】
- 初乗運賃 1.096キロメートル:500円
- 加算運賃 255メートル:100円
- 時間距離併用制 1分35秒:100円
①スリップ制:1.096キロメートルまで500円の場合
営業所を出発した時点でメーターを回し、営業所から500mの地点で利用者さんが乗車すると、残り596mまでは初乗運賃の500円、その後、降車する地点までは、加算運賃「255メートルごとに100円」が適用されます。
②定額制:500円の場合
営業所を出発した時点で500円の迎車料金が発生します。利用者さんが乗車した時点でメーターを回し始めます。乗車した地点から1.096kmまでは初乗運賃の500円、その後、降車する地点まで加算運賃「255メートルごとに100円」が適用されます。
スリップ制、定額制どちらを設定してもいいですし、迎車料金を設定しないこともできます。
ただし、スリップ制は利用者さんが乗車する地点によっては初乗距離を超えている可能性があります。例えば3km先に利用者さんの自宅があった場合、利用者さんが乗車した時点ですでにメーターが回っていて、加算運賃になるので驚かれる可能性はあります。
スリップ制にしても、定額制にしても、事前の料金案内をきちんと行うようにしておくと良いでしょう。
時間制運賃
利用者の自宅など指定した場所にタクシーが到着したときから、降車するまでの間の時間に応じて金額を収受できる運賃です。
例えば、東京都23区内で普通車の自動認可運賃(A運賃)では、下記のように設定されています。
- 初乗運賃:1時間 5,360円
- 加算運賃:30分 2,450円
これは、初乗時間「1時間」以内であれば運賃は5,360円となり、初乗時間を超える「30分」までを増すごとに2,450円が加算されていく仕組みです。
時間制運賃は、時間拘束の割合が高い輸送に適していると言われています。例えば、観光地を周遊する場合、目的地が複数箇所あって長時間貸し切りとなる場合などです。時間制運賃であれば、申込時にどのくらい時間がかかるかによって事前にトータル料金がわかるため、利用者の安心に繋がります。
タクシーメーターを装着しない場合は、時間制運賃のみ採用できます。また、時間制運賃では、迎車回送料金は設定できません。