護タクシーで起業する際の株式会社と合同会社の違いを比較するアイキャッチ画像
介護タクシーで起業する場合、「株式会社」または「合同会社」のどちらを選べば良いのかわからない。と言う声が多いです。
以前は「会社」といえば「株式会社」と言うくらいにメジャーでしたが、合同会社が設立できるようになって20年以上経った現在では「合同会社」を選択する人も非常に多いです。

では、どちらの会社を選択すれば良いのか、具体的に比較検証していきましょう。

株式会社合同会社
設立にかかる法定実費
  • 定款に貼る印紙代:4万円
  • 定款認証手数料:15,000円~5万円
  • 登録免許税:15万円

合計:205,000円~24万円

  • 定款に貼る印紙代:4万円
  • 登録免許税:6万円

合計:10万円

資本金1円以上1円以上
出資者の数発起人1名以上社員1名以上
役員の数取締役1名以上社員1名以上
役員任期原則2年(非公開会社は最長10年なし
代表者の名称代表取締役代表社員
決算公告必要不要
社会保険加入義務あり加入義務あり
知名度・信用度高いやや低い
設立期間2週間~1~2週間程度

※電子定款で作成すると、定款に貼る印紙代4万円は不要です。

株式会社と合同会社一番の違いは?

株式会社と合同会社の一番の違いは、「出資者」と「経営者」が分かれているか、「出資者」と「経営者」が同一か、という点です。

株式会社の基本的な形態である「所有と経営の分離」とは、会社の所有者である株主と、会社の経営を行う取締役が別々の人物であることを指します。

つまり、出資者である株主(オーナー)はお金を出すだけで、経営は他の人に任せることで、有能な人物を会社に招くことができます。株主は会社のオーナー=所有者であって会社の経営に携わることはありません。中小会社では、出資者=経営者となることが多いですが、法律上は出資者と経営者は別人格として扱われます。

一方、合同会社は「出資者(社員といいます)」と「経営者」が原則同一です。
出資者=経営者ですので、出資をしなければ合同会社の経営者になれないという事です。

株式会社であれば、お金を出して会社の経営は他人に任せることができますが、合同会社では会社の経営を他人に任せることはできません。

一人で介護タクシーを起業する場合は、所有と経営が分離しているかどうかはあまり意識する必要はありませんが、会社設立後に第三者を迎え入れる場合や事業承継を考えている場合は、留意しておきたい点です。

設立にかかる費用の違いは?

株式会社でも合同会社でも設立するためには、一定の費用がかかります。

どちらも定款に貼る印紙代4万円は同じですが、株式会社の定款は公証役場で定款認証の手続きを行う際に認証手数料として「15,000円~5万円」かかります。一方、合同会社の定款は公証役場で認証手続きを受ける必要がないので、定款認証手数料が要りません。この時点で合同会社のほうが最大5万円安くなります。

また、法務局へ支払う登録免許税※も株式会社が15万円するのに対して、合同会社は6万円です。

※登録免許税は正確には一律の金額ではなく、資本金の額に1,000分の7を掛けた額です。株式会社であればその額が15万円に満たないときは15万円、合同会社であればその額が6万円に満たないときは6万円になります。

介護タクシーの開業時には福祉車両などに資金が必要になりますが、上記表のように株式会社が「合計:205,000円~24万円」かかるのに対して、合同会社は「合計:10万円」で済むため、半分以下で設立することができます。

設立費用が安いことから、合同会社を選択するケースも多いです。

機関構成の違いは?

株式会社は、通常の会社経営は取締役(代表取締役)が行い、何か会社の重要事項を決定するには株主総会を開催するという二段構成になっています。たとえ株主と代表取締役が同一人物であっても関係ありません。株主総会と取締役は必須の設置機関になっています。

合同会社では、原則出資者(社員)全員で会社経営を行いますので、株主総会などの機関がありません。重要事項を決定する場合は、原則社員の過半数で決定しますので、スピーディーに対応することができます。

役員の違いは?

役員とは、会社経営の責任を有する役職に就いている人のことです。

株式会社の役員は、「取締役」・「代表取締役」・「監査役」です。

株式会社の役員には「任期」がありますので、任期満了ごとに法務局へ役員変更の登記手続きを行う必要があります。同じ人が再任する場合でも手続き行う必要がありますので、任期ごとに費用(登録免許税)や手間がかかります。

合同会社の役員は、「業務執行社員」・「代表社員」です。

社員1名であれば当然その社員が業務執行社員であり、代表社員になります。合同会社では役員の任期はありませんので、辞任するまで役員であり続けます。

税金の違いは?

株式会社と合同会社で、税金面でどちらが損得ということはありません。

合同会社の方が比較的簡素に設立できることから、株式会社と税金面で異なるのでは?と勘違いされている人もいますが、税金面で異なる取り扱いはありません。

ランニングコストの違いは?

株式会社では役員の任期ごとに行う登記手続きに加えて、毎年「決算公告」を行う必要があります。

決算公告は、定款に定められた方法で事業年度終了後に貸借対照表を公開します。例えば、公告方法を「官報に掲載する」と定められている場合は、官報へ掲載するための掲載料が数万円かかります。

合同会社には、役員任期もなく、決算公告義務もありませんので、これらのランニングコストを節約することができます。

株式会社を選択するのはどんな人?

介護タクシーを開業する場合に株式会社を選択する人は、「株式会社でなければならない」という人です。

  • 信頼確保のために株式会社以外は考えられない
  • 施設や病院など取引先との契約関係で株式会社でなければならない
  • 将来的に福祉車両を増やす予定で資金調達を考えている
  • ハローワーク等を利用して従業員を雇用する予定である

日本で一番知名度があるのは「株式会社」です。

もちろん株式会社だからといって初めから信用力がついてくるわけではありませんが、取引先や契約先、銀行等の金融機関からは、株式会社である方が信用力が高く見られる傾向にあります。

会社設立後、新規顧客開拓や金融機関との取引がいきなり始まるかもしれません。このような場合を想定すると、合同会社より設立時間や費用がかかっても、株式会社を選択するメリットは大きいと言えます。

合同会社を選択するのはどんな人?

一人で開業する場合に合同会社を選択する人は、「法人であればいい」という人です。

  • 法人形態にこだわりはない
  • できる限り費用をおさえて設立したい
  • 屋号があるので会社名を前面に出さない
  • 役所から許可を受けるのに法人格が必要である
  • 家族、身内だけで経営するので会社を大きくする予定がない

法人形態にこだわりがなく、税務上のメリットがあるという点だけであれば、合同会社で十分です。

特に屋号(会社の名称)を使う事業、例えば、介護タクシー事業や訪問介護事業など会社名を前面に出さない事業は、合同会社でも不自由することはありません。

また、合同会社で設立しても後から株式会社に変更することができます。最初は小さく合同会社で事業を行い、事業が起動にのってから株式会社へ変更するという選択肢もあります。

まとめ

株式会社にするか、合同会社にするかは結局のところ、自分が行う事業の業種や取引先等の第三者からの信用面が大きく関係するという事になります。

介護タクシー事業以外にも、幅広くビジネスを行う、事業を拡大していく予定があるのであれば、最初から株式会社を選択するほうが良いと言えるでしょう。

介護タクシー事業や介護事業所を行うだけであれば、合同会社を選択して問題ありません。

それでも、もし迷っているのであれば、株式会社を選択するほうが無難です。
やはり日本では株式会社の方がメジャーだという一言につきます。